ジンガの陰で笑う企業 Jive Software

【ニューヨーク=志茂真奈美】 今夏の大騒ぎとは裏腹に、残念な結果に終わったソーシャルゲーム大手ジンガのIPO。ソーシャルメディアのバブルも遂に終焉と見られたが、実はこの惨敗の陰で、密かに笑いが止まらない企業がある。

ジャイブ・ソフトウェア(Jive Softoware)。企業向けのソーシャルメディア・ソフトウェアの開発を担う同社は、今年8月にSEC(米証券取引委員会)にIPOを申請し、ジンガと同じく先週、株式の新規公開にこぎつけた。時価総額9億ドル(=約703億円)と、ジンガのわずか10分の1という事もあり、大して注目もされなかったIPOだったが、その結果には目を見はるものがあった。一株12ドルで公開されたジャイブ社株の、初日の終値は15. 05ドル。株式市場が低迷した中で、初日に約25%の値上げを見せたというのは大健闘と言える。

全米の大企業は今、電子メールにとって代わる勢いのソーシャルメディア・ソフトウェアを重要視し始めている。ソーシャルメディアはもはや、一時の流行ではないと見なされているのだ。ジャイブ社の顧客リストには日立データシステムズ、ドイツ銀行、エイボンなど国際的大企業が名を連ねる。

2011年は、実に多くのソーシャルメディア関連企業がIPOを果たした年でもあった。しかしながら、レンレン、グルーポン、ジンガは軒並み短期間で公開時の株価を下回っている。一方で、リンクトインとジャイブは手堅く成功を収めている。一体何故か?

あるアナリストはこう語る。「特に驚くような事ではありません。投資家というのは、対消費者のビジネスに投資しがちです。消費者相手のビジネスは、順調か不調かが目に見えてわかりやすいですから。しかし、消費者というのは気が変わるのも早い。一時的にうまく行っていても、あっと言う間に下降線を辿る事も珍しくありません。ジャイブやリンクトインは対企業のビジネスです。外からはわかりづらいかも知れないが、実は手堅い商売をしているのです。」

ちなみに22日のジンガの株価は9.47ドル(IPO価格10ドル)。ジャイブは15.66ドル(同12ドル)だった。

「ソーシャルメディア」というだけで、投資家からカネを集められる時代はもう終わったようだ。来年春とも言われるフェイスブックのIPO は果たしてどうなるのか?2012年は2011年とは違う意味で、ソーシャル・メディアの動向に注目だ。

カテゴリー: IT ビジネス, 株式市場 タグ: , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク

コメントを残す